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[コメント] 薄桜記(1959/日)

途中までは普通のチャンバラか。とか思ってたんだけど、後半でやられた。目が離せない名場面。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 五味康祐原作の時代活劇の映画化作品。丹下典膳という実在の侍をモティーフに、当時の事件であった高田馬場の決闘や、後に起こるであろう忠臣蔵に登場するキャラクターも加えて描く一種のファンタジー作品。

 本作はチャンバラを主体とした剣豪映画のようではあるのだが、美術的に大変優れた作品でもある。特にラストの典膳対多数の戦いは、映画史上最も優れたチャンバラシーンとも言われている。雪の舞うさなか、片手を失い地に伏しても尚戦い続けるのを引きで撮影するシーンは息を飲む美しさと言えよう。

 主役を演じる市川雷蔵も本作が頂点とも言える凜々しさと、立ち居振る舞いは本当に見事。

 実は典膳は後に隻腕の剣士として忠臣蔵にも登場する。ただし吉良上野介の用心棒として。忠臣蔵の赤穂浪士とは仇となるのだが、それを念頭に置いて本作を観ると味わいが増す。

(評価:★4)

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