[コメント] 地震列島(1980/日)
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地震予知学会(ここでは地震予知会)というのが何をしているのか、何となく判るのが本作の美点。勝野洋は「30日以内に直下型地震が来る」と予知会で発言、根拠はないがこうしなければ世間が危機に気がつかないと主張して恩師の大滝秀治らに叱られるのだが、その根拠であった三原山の異常隆起の調査結果を、なぜ最初から学会に説明しないのかがよく判らない。中盤に勝野はこれを大滝に提出し受領されている。最初からそうしろよ。とんだ間抜けである。
ちょっといいのは勝野が総理佐分利信に直訴する件で、面白いから話を聞いてみようという官房長官の佐藤慶がなんかリアルだった。部下は入口で断るが、上層部は意外とフレキシブルだったりする。勝野の総理への提言は、道路を全て二倍の広さにすること。佐分利は適当にいなすのだった。
後半、物語は勝野の安いメロドラマに横滑りを始める。多岐川裕美の金賭けて磨き上げたバブリーな美貌が二時間ドラマみたいな映画に似合う。ヒステリックな村瀬幸子と下手糞な子役、諦念の塊のような松尾嘉代。唐突にやってくる地震描写はそれなりに面白いのだが、物語の脈絡からは、それはまるで女たちの怒りが原因であるかのように見える。そんな怨念で災害を語っていいのだろうか新藤先生。
多岐川が起震車のなかで地震に合っているような平板なショットが続く。二号になれと多岐川に命ずる吝嗇な父親松村達雄が地割れに呑みこまれるカタルシスは平凡。鈴木瑞穂の統幕議長は驚き。しかし、それなりの考証はあるのだろうから、地下鉄を鉄砲水が襲っているのは勉強になった。震源浦賀水道。M7.9。東京湾決壊により東京の半分は水浸しと云っている。
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