[コメント] 砂漠の流れ者(1970/米)
「西部劇」が終わる時代、砂漠に生きたひとりの男の生き様がささやかな伝説のように語られる。嘘のように幸福な時間と、その結末。「西部」への鎮魂歌「ケーブル・ホーグのバラード」。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ジェイソン・ロバーズとステラ・スティーヴンスのじゃれあい。デヴィッド・ワーナーのいいかげんな牧師ぶり。銀行家ピーター・ホイットニーの哄笑。仇敵だったはずのストローザー・マーティンの憎めなさ。何もかもがただただ幸福だ。嘘のように、夢のように幸福な時間。
ラストシーン、やはり嘘のような事故に遭ったロバーズは、砂漠の真ん中に運び出されたベッドに横たわって軽口を叩くなどしている。ワーナーは弔いの言葉をかけ、スティーヴンスは「縁起でもないことを」と云ってロバーズに寄り添う。ワーナーの言葉をヴォイスオーバーとして引き継いでいく次のショット、もうロバーズは埋葬されている。このような信じがたいカッティングに出会ったとき、私たちはただ驚き、涙することしかできないだろう。そして慎ましい葬儀ののち、馬車や自動車やバイクに乗って散り散りになる参列者たちを捉える全景ショットが、このささやかな伝説に幕をおろす。
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