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[コメント] マイ・ネーム・イズ・ジョー(1998/英=仏=伊=独=スペイン)

酒と涙と男と女と
ADRENALINE of Adrenaline Queen

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







イギリスの労働者階級を描いた映画と言えば近年では『ブラス!』や『フル・モンティ』、『リトル・ダンサー』などの秀作揃いですが、それらの映画同様に、この映画でも労働者を取り巻く厳しい社会環境が描かれています。

人というのは弱い存在で何かに依存しなくて生きていけない存在なのでしょうか。このことを映画を見終わってから暫し考えてみました。多分生きていけないでしょう。凡人にして世間知らずの自分にはまだまだ分からない部分も多いですけど。そこにあるのは、もたれ合うように生きる愛情関係。相互に依存して、時として相互に足を引っ張り合うような煩雑さを感じながらも、離れられない関係です。この映画は、登場人物の内面に深く入り込んで、そんな人間たちの絆をじ優しく、そして鋭く描いているのです。恋におちる二人が絵に描いた美男美女じゃないのも好感が持てました。ピーター・ミュランはジョーのキャラクターを血の通った人間味豊かなものにしたと思います。

題材からすれば貧乏を強調した救いようのない悲惨な話にも、不満の矛先を社会に向けたような政治色の強いプロパガンダ的な映画にもなりそうです。でもそういうチンケなものにはなりませんでした。この映画にはハリウッド映画的な甘いハッピーエンドは用意されてませんが、ハリウッド映画にはない渋味を感じました。

(評価:★4)

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