基本はテレビみたいなチープな喜劇セットなのだが、北国の駅から電車のロケなど陰翳を持って深刻でバランス悪く、出たとこ勝負で撮っている印象。ビル屋上の益岡徹の説得の件はじめ、全体に被写体のサイズも行き当たりばったり。こういうのを観ると、いい作品とはその辺り的確なものだと反面教師的に気づかされるものがある。久石の打ちこみシンセも退屈。全体にダルいのはこの音楽のせいもある。

平凡な事件を劇化させる仲代達矢を、さっきまで批判していた風間杜夫が、次の件では一緒になって容疑者の竹田高利を出鱈目に尋問しているようなノリは面白くない。志保美悦子は重く、彼女と竹田の終盤の二人芝居は舞台ならきっと面白いんだろうなあとは思わされる。仲代は頑張っているが報われず。