[コメント] 地球防衛軍(1957/日)
独自の物語をきちんと織り成す限りにあって、考証よりも無茶なアイデアの面白さを優先させるのは、“映画におけるSF”のあり方として正しいのだが・・・
女をくれ〜! とやって来たミステリアンとモゲラ。その頓狂な格好も含めて、実に奥深いものを感じるのだが・・・平田昭彦と河内桃子の報われぬ恋ってのは、どうしたって“あの作品”の亜流に見えてしまう。それも含めて、今一つ設定が活かされていない。
結論を言えば、これはまだ磨かれていないダイアモンドだった。最近の野蛮なだけの無味乾燥なエイリアンなんて面白くもなんともない。ミステリアンのような、エイリアンでなくて、宇宙人! これを、今の映画は怖くて描けなくなってしまった。照れ隠しとか、お笑いとか、パロディに逃げるんじゃなくて、本気で宇宙人を描こうとしなければ、今のSF映画は往年の特撮(洋邦問わず)に及ばない。
それなりの考証をしても、専門家の突っ込みが怖いし、一般に笑われても格好悪い。うまいこと現代社会の暗喩にも見せて成立させるのは、まあ容易なことではない。グロいクリーチャーのビックリ箱を作ってる方がらくですな。でも本当に見たいのは、当世のリアリティの顔色ばかりをうかがった、無難な考証や未来予想ではなく、この現在に潜在している切実な感情を内に秘めた突拍子もないアイデアなのです、それこそミステリアンのような!
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