[コメント] ローマの休日(1953/米)
ヘプバーンにとっては悲劇の始まり
1つ1つの細かい演技、画像全てに注意が払われていて、まさに芸術とエンターテイメントの融合である。
淀川長治氏曰く、当時『ROMANHOLIDAY』という題名が与えるイメージは「スキャンダル」であったそうで、「ローマ」は有名人達の遊び場的場所の代名詞だったそうだ。それを逆手に取り、密やかできれいなスキャンダルという形の本作は、非常に斬新で衝撃的だったようだ。
そんなヘプバーンの出世作は後の、彼女を苦しめ続けることになるのだから皮肉なものである。というのも、この作品以来、彼女のイメージは「清楚で、お嬢様」になってしまった。本当の意味で女優を目指す彼女にとって、このイメージの定着は束縛でしかなかったようだ。というのも後に「尼僧物語」などの名作に出演しているが、当時のアメリカ国民はこれをよしとはせず、逆に厳しい批判を制作者達に浴びせたほどである。
そういう意味で、映画史上に残る名作中の名作は、皮肉なことに1人の女優をつぶしてしまったのだ。
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