[コメント] アイズ ワイド シャット(1999/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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この映画は喜劇である。この映画ではキューブリックは宣伝にも関わっていたそうで、その段階から物語は始まっていた。マスコミ嫌いだったキューブリック、これは、批評家やマスコミを笑っている映画だ。
まず、神格化されたカリスマ監督のつくった映画だということで、観た人はすごく過激なものを見せられたような気になり、その意味を探る。
ニコール・キッドマンが画面に向かって、トム・クルーズに向かって挑発する。冒頭のカットで臀部をさらけ出す。パーティーシーンでは初対面の紳士に生々しく口説かれる。秘密の館での淫靡な仮面パーティー。
全編が終わると、何か禁断のすごくいけないものを観た気になる。
でも、よく考えると、トム・クルーズは結局一人もモノにできていない。全部寸前のところで邪魔が入ったり、決心しきれなかったりで。自分の妄想に振り回され、ちょっと倦怠気味の嫁さんのシャレに振り回されるクソ真面目亭主。
50年代のアメリカのTVコメディーのようなプロットである。
その上、トム・クルーズとニコール・キッドマンが演じているものだから、観客はますますその気になる。映画界最高の夫婦。こうなるともはやキャスティングも監督のシャレだったか?
真面目に観れば観るほどキューブリックの悪戯に振り回されていく、おっそろしい艶笑喜劇、これこそ本質!タイトルに戻ってみると、「アイズ ワイド シャット」。「そのフシアナの目をよーくおっぴろげて見てみなはれ」と監督が笑ってる。
その証拠に彼は、落語のオチよろしく、ラストでニコール・キッドマンにトドメの一言を言わせて、批評家たちを嘲笑してしめくくる。「FUCK!」「くだらない!」
割と楽しいオッサンだったんだね。
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