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[コメント] アルゴ探険隊の大冒険(1963/英)

技術的な面からすれば特撮史に十分残せる大傑作だが、残念なことに素直に満点をやれないのである。
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 クライマックスのガイコツ兵士7体VSアルゴスの勇士3人はいつ観ても大迫力で、よくもまあここまでタイミングよく会わせたものかと思ってしまう。しかもこれ、技術的には『シンドバッド7回目の冒険』のチャンバラからさらに一歩踏み込んだ映像表現に挑んでいる。「ジェイソンが骸骨の身体を剣で貫く」の後に「さらに彼は切りかかってきた骸骨の剣を素手のまま交わす」……ここまでワンカット。わずか1、2秒というこのシーンに、ハリーハウゼンの果てしなき技術向上心を感じてしょうがないのだ。

 まあハリーハウゼン自身も本作を最高傑作といっているくらいだから、特撮だけ見れば間違いなく満点ではあるが……、この映画ではそれ以外のところが足らない。

 前半は非常にワクワクさせてくれる。話が神々のチェスの通りに進み、ゼウスが「神は自ら助ける者を助ける」と見守っているというのは一向に構わない(これと『タイタンの戦い』のゼウスを比べてみると面白い)。しかしアルゴ探検隊といえばギリシア神話の著名人(怪力ヘラクレスや琴の名人オルフェウス、カストル&ポルックス兄弟=双子座の二人)が大勢乗っている船のはずなのだが、活躍するのはジェイソン他数名程度。元の神話に忠実なのだとしたら仕方が無いが、だとしても多少脚色しても良かったのでは、と思う。そこを演出でカバー出来てないのも残念。100分以上ある話であのテンポではちょっとゆっくり過ぎる。そして一番の欠点が、話が終わってないこと。羊の毛皮を手に入れたその後が大変なはずだが、まあジェイソンのことだから上手くいったとは思うけれど。

 尻切れトンボなだけに、素直に満点がやれない。そこだけが実に残念。

(評価:★4)

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