[コメント] 死刑台のエレベーター(1957/仏)
『勝手にしやがれ』を古典だという人がいる。しかし、これを古典と呼ぶ人はいない。何故なら、これは高等な応用編で、色を付ければ現在進行形ともいえるから。そして何もかもがフレンチ、これぞ「フランス映画」!
閉じ込められた狭い空間のM・ロネと夜のパリをただ歩き回るだけのJ・モロー。ともに台詞は少なく、抑えた演技を要求されている。
対して若いカップルは奔放にスクリーン上を駆け巡る。無軌道で厭世的ではあるがどこかで社会に認知されたいと願う二人。同時期の『勝手にしやがれ』の主役と極めて類似した設定だが、同作品とともに印象深い。
第2次大戦中は幼くレジスタンスの勇士になれず、やっと成人した時にはインドシナ紛争やアルジェリア紛争等、時代遅れの植民地復活戦争で「正義の戦争」でなかった。当時のフランスの若者にはこうした不満と憧れがあったのではないだろうか?
この作品は映像も脚本もM・デイビスももちろん秀逸だが、脇の若い二人がどうしても気になってしまう。
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