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[コメント] 惑星大戦争 THE WAR IN SPACE(1977/日)

単純明快、捻りがあるわけでもないストレート勝負に加え、何一つ愛情を感じないやっつけ仕事のような話の構成は素晴らしい。無論、逆の意味で。
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 第一、宮内弘、新克利、沖雅也、そして池部良といろいろ出しておきながら、その登場人物が全員死ぬという節操の無い脚本の、どこに愛情があるのか。こんなので『スター・ウォーズ』から始まった宇宙SFブームに乗ろうとした東宝という会社が、自分にはよく分からない。ただ原案が神宮司八郎田中友幸の変名というエピソードからしても一応意気込みだけは買ってもいいが、それに及ぶものが無さ過ぎるというのが一番の問題だろう。

 新克利がいた宇宙ステーション・テラが何者かに襲われるという描写を特撮無しで描くという無節操ぶりからして、既に嫌な予感に襲われた自分だったが、話が進むにつれそれが見事に的中。恒星ヨミ人(お前はバビル2世か!)の地球襲撃シーンの特撮はほとんど過去作品からの流用で、人類の反撃シーンは轟天出撃まで描かれない。人類側の戦闘機が登場したのなんか、ジミーがやってきたくらい。考えれば考えるほど、スケールの無さが目立ってしょうがないのである。この他、本作のどこがおかしいかについては甘崎さんのレビューに詳しく書いてあるのでそちらを参考にして頂きたいが、ここまで愛されていない東宝特撮映画も珍しい。

 こう考えると「珍作」と称される『宇宙からのメッセージ』の方が、まだいろいろ挑戦しまくっている。特撮は言うまでも無いが、演出のパワーも福田純深作欣二では比べるまでもなく、制作期間がたったの3ヶ月という話を聴いても、何か“焦りすぎ”という感が漂っているのは気のせいとも思えない。

 となるとクライマックス、中野監督の爆破がやたらと派手なのは、そんな焦りすぎてスケールの小ささを全く眼にくれなかった製作サイドに対する、現場からの反論なのか? だとしたら素晴らしい。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)水那岐[*] 甘崎庵[*]

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