弦の糸は緩んでしまったように思える。

それでも一応の脚本が存在していた『２／デュオ』に比べて、演者は取っ組み合うべき対象をもてなかったのではないだろうか（＊）。「子供」という、それまでの関係にとっての他者が介入してくることで起こる一組の男女のもつれあいとせめぎあい、だが、それは結局二人の関係を変容させることなく、子供が放逐されるカタチで映画は終わってしまう。時に映画からこちらへとせり出してくるような一瞬はあるにせよ、全体としては何も実現できない物語りとなってしまったように思えた。

＊）全体のスジがはっきりしてないと、役者はあらかじめ役を見出して設計することが出来ず、その都度場当たり的に見出していくしかないのではないか。それでいながら、何かを演じなければならないという意欲だけが空回りして、その所為で実際の演技は自己完結的に過剰な身振りになってしまうのかもしれない。