[コメント] 娼婦ベロニカ(1998/米)
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『エリザベス』と男女の立場を逆転させたような映画。
キャサリン・マコーマックが身分の差のために恋人と結婚できず、生活のために娼婦にならざるを得なかった女性ベロニカ役を情熱的で魅力あるれる演技を披露している。しかし彼女が純粋すぎて実際の娼婦ようなやらしさ等が感じられないのが少し娼婦という職業をきれいに描きすぎたのではという気もする。最後の宗教裁判のシーンでのベロニカの弁舌とルーファス・シーウェル演じる恋人マルコの命がけの弁護、そしてマルコの妹やベロニカと関った男性達の勇気ある発言と意外な展開は非常に盛り上がって感動できた。
またベロニカに嫉妬するマフィオ役オリバー・プラットも本当に負け犬という感じの意地の悪さが随所に出ていて良い演技をしていた。他にも体は売っても心は売らないというベロニカの姿勢が最後まで貫かれているのも良かった。
難点としてはジャクリーン・ビセット演じるベロニカの母親はベロニカを娼婦に仕立てたばかりに後にベロニカを危険な目にあわせるという結構重要な役割を果たしている筈なのだが中盤でペストにかかってあっさり死んでしまうのはいくらなんでも安易。せめてベロニカと母親のエピソードもあってくれたらベロニカの母親にも共感できたのだが、他にもマルコの妹も女性の中ではベロニカの唯一の理解者の筈なのにエピソードがあまりなくあまりにも影が薄い、またマルコと結婚させられる女性を演じたナオミ・ワッツにも特にエピソードがないのも物足りなさを感じる。
その辺はベロニカとマルコの恋愛部分を少し描きすぎた気もするがむしろ他の人物のエピソードを描いて作品を長くした方が良かったと思う。映画的にはロマンチックすぎるぎらいもあるが映像が美しく世界観もきちんと描いていて、大人の恋愛ドラマとしては良質の出来。
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