[コメント] シックス・センス(1999/米)
僕にとっては文句なく最高の作品です。観賞前にTVの15秒CM以外の情報をシャットアウト出来たのも幸いでした。情報を何も知らない僕には、セットアップ(キャラクター紹介場面)も退屈せずに観られ、しかも「コール君の正体は何者?」という謎だけでも心を躍らせる事ができたのです。
「シックス・センス」の、ギミック(仕掛け、謎)については大勢の皆様がコメントしておられますので、正直、このレビューでは何を書こうかと悩みました。僕にはもはや出番はないのかとも思いました。ですが大好きな作品だけに、何かを伝えたい・・・、そんな気持ちがありまして、一生懸命考えた末、まだ皆様がコメントされていない、”音”について話す事にしました。
一般的に映画の音には、”音楽”と”音響効果”があります。”音楽”はリズムやメロディーで構成された楽曲で、”音響効果”は本当にある音に似せて作られた擬音。「シックス・センス」はこの両方の音を使って観客の心理を抑揚させています。
”音楽”は場面の雰囲気を明るくしたり暗くしたりする効果と共に、登場人物の心理描写を助長する意味合いもあります。「シックス・センス」では細い旋律の音楽を多用することにより、キャラクターの繊細な気持ちを表現しています。この細い旋律はコール少年やマルコムが自分の気持ちを表現する時に良く使われています。
次に”音響効果”。コールが恐ろしい目に遭っている時とか、その他いろいろな怖いシーンで使われています。この作品での効果音の意義は、観客にもその場面に居るような錯覚を与えることです。怖い場面でコールと一緒になって驚いてしまう人も大勢いると思います。これらが効果音の役目なのです。
そしてもうひとつ重要な事があります。「シックス・センス」では、静寂なシーンで不気味な効果音をかすかな音量で流していることが多いのです。これも効果音の役割なのですが、この音は作品全体に重い雰囲気を醸し出してくれます。僕が”見えない空気の存在”をあたかも見えたように錯覚してしまったのは、これらの音が僕の感覚を研ぎ澄ませてくれたからかもしれません。
余談ですが、最近のハリウッド映画は空気を感じられる作品が少ないと思います。大きめの音量の音楽を多用して観客の気持ちの高揚させる手法も良いのですが、個人的には空気の存在を感じられるような雰囲気を持つ音響効果も、もっともっと使って欲しいと思います。
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