[コメント] シマロン(1931/米)
映画の体格に繊細さの欠けるBADな作品
オスカーの名を汚す良いとこなしの拾えない映画である。主人公ヤンシー・クラヴァット役のリチャード・ディックスからしてダメである。そのマッチョな主人公像がそのままこの映画の性格を体現していると言っても言い過ぎではないだろう。本作がどこか垢抜けないのは、トーキー時代に突入しているにもかかわらず空間処理および登場人物の描写がサイレント期の枷をはめたまま窮屈に換骨奪胎できていない不味さにある。とくに大味な人物造形。どんなに咀嚼しても不自然なのである。そのうえ好色な匂いがする。これは何かのトラウマなのかもしれないが、リチャード・ディックスがどこか怖いし、イザリア役のユージン・ジャクソンが怖い。シュトロハイムの映画の登場人物のように不気味である。これをピエロ恐怖症の亜種であるサイレントムービー俳優恐怖症とでも名付けたい。ともかくこの映画はサイレントムービーではないのだが、ウエズリー・ラッグルズの鈍臭い演出に呆れるだけの見てはいけない映画であることをリポートする。
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