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[コメント] さよなら子供たち(1987/独=仏)

ああ、そうだった。チャプリンの映画を、私もジュリアン(ガスパール・マネッス)たちと一緒に観て、笑ったんだっけな。「あの一月の朝を私は忘れないだろう」。私こそ、ジュリアンのつぶらなひとみからあふれる涙を一生忘れないだろう。
kazby

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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これが、長い長い別れになる朝に交わした、ありふれたいつもの短い挨拶。それが、”アデュー”でないわけが、なんとなく分かる気がするのだった。

子供ながらに、何が起ころうとしているのか、気付き始めていたジュリアン。 Dr.ミュラーの執拗な捜索に、ボネ(ラファエル・フェジト)を気遣い、思わず振り返ってしまったことを、誰がとがめることができるだろう。「いつかは捕まってたんだ」とつぶやくボネ。

ユダヤ人を匿う行為自体が、既にレジスタンスなので、このジャン校長(フィリップ・モリエ・ジュヌ)はじめ、学校の職員はほぼ抵抗組織の一員、または賛同者だったと思える。 校長先生は、お説教のやりかたや、参観日の演説などを見るに、ああ、この人はそうなんだなと、わからせるように演出をしていた。

レストランで出会った、毅然としたユダヤ人紳士の姿、レストラン・オーナーのささやかな弁護、兄フランソワ(スタニスラス・カレ・ド・マルベール)の「売国奴」発言。 私だって心臓が爆発しそうだったのに、そこに居合せたお客さん達の抵抗が彼らの危機を救った。

武装もしていない。確かに非力だろう。でも、わたしたちがこんな抵抗さえやめてしまったら、戦争は何度でも繰り返されるんだって、あらためて思う。

(評価:★5)

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