[コメント] 刑事コロンボ 忘れられたスター(1975/米)
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本作はシリーズ中最もファンの多い話と聞くが、それもよく分かる。ストーリーはともかく(どこかで観たような物語というのはさておき)、キャラの立たせ方において、本作ほど見事なものはない。
本シリーズは華やかなメディアの舞台裏を題材としたものが多く、本作もブロードウェイの舞台裏を描くもの。ストーリーとしては『何がジェーンに起こったか?』(1962)を素のまま本当の犯罪ものにしてしまったような話で、『何がジェーンに起こったか?』のベティ=デイヴィス張りにジャネット=リーが頑張っている。リーと言えば、『サイコ』(1960)での叫び声が印象深いが、それに勝とも劣らぬ鬼気迫る演技力を見せてくれた。誰にも見向かれてないのに一生懸命演技指導する姿。最後は病気によって自分が夫を殺したことさえも忘れてしまい、その罪をかぶったペイン演じるネッドを弾劾する様。全部が見事に決まってる。
それで彼女を愛する役のペインの演技が泣かせる。彼は彼女を女として愛するというのではなく、演技者としての大ファンだからこそ、彼女を守ってやろうとするのだろう。そう、まるで『サンセット大通り』(1950)におけるシュトロハイムのように…ラスト、全てを忘れてしまったグレースの罪を全てかぶり、その当の本人になじられながら警察に引かれていくというオチも泣かせる。
とにかく演技者のはまり具合に泣かせられる作品だ。謎解きとしてはさほどではないけど、全てを知って尚、誤認逮捕を敢えて行うコロンボも、人間味溢れる演技を見せてくれた…刑事としては失格だけど(笑)
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