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[コメント] 座頭市と用心棒(1970/日)

座頭市★4、用心棒★2。間をとって★3。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 “二つの組織が争いを続ける集落で、どっちつかずの主人公が画策によって弱者を救おうとする”『用心棒』的物語の上に、“シニカルで凄腕な、情に厚い悪党”という『座頭市』的主人公を置いています。その混ぜ具合は見事なものだし、展開の面白さも悪くない。ただやっぱり座頭市的主人公の座に座らされた用心棒は、用心棒足り得ていないんです。いくら物語の世界が用心棒的であったとしても、やっぱりそこにいるのは桑畑三十郎じゃない。

 結局、座頭市の根幹っていうのは「悪党」なんだと思うんです。ただやけに情に厚いために結果として正義になってしまっている悪党。対して用心棒の根幹はっていうと、これはもう揺るぎないくらいの「正義」なんです。一見悪党にすら見えるいい加減な立ち振る舞いの中に、ヒーロー足り得るだけの強い正義感があるのが用心棒なんです。この辺りをない交ぜにして「悪悪」とかでくくっちゃうから、用心棒だけ光が死んでしまっているように思えます。

 まぁこれは「座頭市」シリーズとして撮られた作品ですから、そうなってくるのも仕方ないのかも知れません。だけどやっぱり「用心棒が隠密」っていうのは萎えたんだよなぁ。あとあんまりカネカネうるさいのも萎えた。座頭市がカネカネ言うのは全然ガッカリしないわけで、ここはもっと明確に二人のキャラクターやポリシーを分けて描いて欲しかったなって思います。

 あと許されるなら「梨畑四十郎」とか適当に名乗って欲しかった。それだけで★が一つは上がります。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] づん[*]

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