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[コメント] 大脱走(1963/米)

脱走するにあたって起こりうる障害や状況をきちんと描き、それを如何にクリアするか……。他には見られない「頭脳的アクション」映画。
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 穴掘りの偽装、残土の処理、必要分署の偽造、衣服の調達等々、綿密なまでの計算の元で実行される大脱走計画。そこまでやったにも関わらず、穴の距離計算を誤るという致命的なミスをしてしまったのは余りにも残念だが、それもまた距離を実測ではなく目視でしか確認出来ないという状況から生じた「障害」でもあるのだ。そして脱走してからも困難は続き、ほんの些細な気の緩みから正体がばれたり、後一歩のところで国境に到達出来ないという結末を迎える。例え準備万端といえども、その安心感がまた新たな困難を生む原因になるのだろう。とはいえ、ポスターやDVDのパッケージとかにデカデカと描かれているスティーブ・マックイーンが、実は脱走出来ないというオチには、かなりの人が驚いたのではないか?

 後半のスリリングな脱走場面も好きだが、個人的にはドイツ軍にばれないようにコソコソと、しかし着実に準備を進めていくところが一番好きだ。普段の行動をしつつバレないようにやる、というどこか日常的なスリリングさを感じる展開がたまらない。突発的なアクションに頼る昨今の映画よりも、こっちの方がずっと面白いと思うのだが。

(評価:★4)

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