[コメント] 激動の昭和史 沖縄決戦(1971/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ひたすら日本人が死んでいく。ボロ切れのように射殺され、肉片となって吹き飛ばされていく。
米兵との白兵戦で、銃剣で殺し合い、血まみれになって死んでいく。
壕に避難している避難民たちに毒ガス弾が、そして火炎放射器の炎が舐め尽くす。
家族ごとにたった一発の手榴弾が渡され、自決を迫られる。死にきれなかった者たちは瀕死の状態で互いに鍬やこん棒で息の根を止め合う。
映画の終盤、農家の男は男の子の喉を鎌で掻き切り、ついで自分の喉を掻き切る。
海上では戦艦大和が炎と重油の中で沈んでいき、特攻機が鉄の塊に突っ込んでいく。
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狂っている。この映画は発狂している。いったい何人の死のシーンを見せ付ければ気が済むのか?
映画の冒頭に「これはフィクションである」旨が警告されている。そしてラストのテロップには「日本軍戦死者10万、沖縄県民の死者15万人」とある。
凄まじいジョークだ。そう、映画ではせいぜい数百人の死のシーンしか描き切れなかったから・・・とても25万人もの死のシーンを映像化することは不可能なのだから。
余談だが、この論法でいくと広島や長崎の原爆投下の1シーンは、世界の映像史上稀にみる一瞬での「大量死の瞬間」を捉えていることになる。
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狂っている。この映画は悲鳴と絶叫に覆われている。
女学生が呟く台詞がある「アメリカ殺す、アメリカ殺す・・・」
憎しみに満ちた、憎悪しかない台詞である。ちなみにこの女学生は生きていれば70代半ばで安室奈美恵やMAXの祖母にあたる年代である。けっして大昔にあった戦争の映画ではないのだ。
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原宿に刑務所ができるらしく、反対の声があがっているらしい。東京に原発は嫌だし、自分の家の近所にごみ処理場や葬儀場が出来るのはもっと嫌だ。
沖縄はどうなのだろう?15万人という死者は県民の3分の1だという。沖縄人は戦後、ドルを使い、左ハンドルの車に乗る生活を強いられた。日本に復帰した時、心底喜んだのでしょうか?
沖縄が琉球国に戻る選択肢は経済的な問題で自立できない為あり得ない。ならば、親兄弟を殺した日本の一地方として、火炎放射器を使ったアメリカの基地を唯一の財源として存在していくしかないのでしょうか?
私達はこれ以上オキナワに何をさせようとしているのか?
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