[コメント] ファイト・クラブ(1999/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ファイトクラブは「おれがおれでありたい欲求が世界を破壊する」話です。
以下ストーリーを辿ります。
一 「禅寺」
タイラーの周りに彼を崇拝する人間が集まり宗教のようです。
そのやり方は禅寺の修行を参考にしているようにも見えます。
1: 外で長時間待たせる(覚悟を試す) 2: 坊主にさせる(個性の意識を消す) 3 疑問を許さない(修行に集中させる)
4:発言を許さない(自我を起させない) などです。
やがてタイラーの意志そのままに行動する集団が出来上がりました。
二 「マックスウェーバー」
しかも タイラーという存在が消えることで完璧に近付きます。 人間がいなくなり情報として純化されることで ただ命令を遂行するだけの 機能的な集団に変わります。
マックスウェーバーの考えるプロテスタンティズムと同じです。 それは資本主義の精神であることを忘却される事で役割を果たしています。
三 『攻殻機動隊』
『攻殻機動隊』とも同じです。 タイラーはアオイのように「消滅する媒介者」になり ファイトクラブ会員はタイラーという 「動機ある他者の意志」の下で 互いに「動機なき他者の無意識」-「おれがおれでありたい欲求」 を感化し合うことによって クラブ内に それぞれ違う人間が個別の意思を保ったまま 同じ意識を共有し行動する ' Stand Alone Complex '‐(孤立した集合体) 現象が起きています。
無意識は世界の破壊に向かって動いていきます。
四 『エヴァ』
裏テーマ「深層意識との対峙法」を扱うためのケースが揃いました。
1: 欲求をガマンする(主人公) 2: 欲求を解放する(タイラー / 会員) 3: 欲求と向き合う (ラストの主人公)
となります。
『エヴァ』でしたら 3を選んで世界は救われますが こちらは崩壊します。 エヴァでは媒介者の意志が世界の意志ですが ファイトクラブでは媒介者が機能していないからです。
表テーマ「1:個人の意思を煽動する情報や人の恐ろしさと2:情報に踊らされる大衆の愚かさ」です。 1は誰も止めることができない情報が暴走して世界が崩壊したことです。 2は当の本人が操られていることに気付いていないことです。 『攻殻機動隊 2nd GIG』は特に後者を取り上げています。
◎シナリオ
◎キャラクター(タイラー)
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