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[コメント] ゴジラ2000・ミレニアム(1999/日)

ミレニアムということで黙示録や神話のような仕上がりを狙ったのか、今までのことをなかったことにするてらいからか、ゴジラは「運命の存在」のような描かれ方。妙に重々しいトーンがいっぷう変わった味わい。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







攻撃シーンなんかも粛々として重厚感があり、全体の雰囲気は悪くないけど楽しくもない。至高のゴジラ映画を作るためには、がっちりと作られた絵をつないでいくことがもっとも大事だということなのだろうが、その分ストーリーの面白さで見せていくほうは放棄してしまったような感じ。BGVだったら結構良いと思うし、そういう意味で自分としては、84年版からのゴジラシリーズの中ではいつかまた見てみたいとも思う。

しかし、「われわれ人間の心の中にある」という(…)超ゴジラによる「繰り返される運命」を象徴するラストって、額面どおりに受けとめられれば「何度復興を試みても、またも破滅に追いやられる人類や文明」という、さながら、絶壁の上に押し上げた巨岩をそのたびに何度も谷底に突き落とされることを永久に繰り返させられる「シジフォスの神話」のような絶望感・悲壮感を感じさせてくれてもよさそうなはずだ。それでこそまさに「ミレニアム」というタイトルにふさわしいテーマだったろう。なのに「繰り返される運命」というメッセージは、どちらかというと、ゴジラを繰り返し消費しつづける映画会社の商売の自虐的なパロディのように思えてしまうし、「またか…」という「繰り返される絶望」は、このシリーズそのものに向けられる…。それもこれも、「心の中」とかっていわれると、作品の中の人物たちじゃなくて、観ている自分たちのほうを言われているように感じて(特に40のオヤジなんかだと…。)ふとわれにかえってしまうからではないか? やはりゴジラは「いいからぶっ壊して楽しませてくれ!」という延長線上になくてはならず、そのために何本もいろんなシリーズで見たいんだよ、ってことを誰も否定したりはしないはず。「心の中…」はつくづく余計なことだった。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)kiona[*] sawa:38[*] 荒馬大介[*] 水那岐[*]

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