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[コメント] ゴジラ2000・ミレニアム(1999/日)

ゴジラを捉えるロングショットの構図はマニアの視線。こんな画が見たかった。根室と鹿島はそんな画の集大成。そして何よりもゴジラ史上画期的なリアルなルールにやっと納得す。
sawa:38

本作に登場する自衛隊のミサイル類は陸も空もすべて全弾命中!

第1作目から我が国の自衛隊の射撃は何故、あそこまで大きな的に当たらないんだろう?市街地だろうが山奥だろうが、無駄弾ばかり。これは少年期からの大きな疑問であり、不満でもありました。それがやっと、今回は全弾命中!

これって、些細な事だが大きな出来事ですよ。

本当のところ、私にはどれが「リアル」なのかは分からない。軍事・航空宇宙・生物・科学・化学etc。どれも専門家などではないし、映画を楽しむのには「上手に騙して」くれればそれで充分なんです。

本作では子供向けの空想兵器を駆使する自衛隊は登場しなかった。それだけで私にとっては充分リアルでした。

ミニチュア破壊にしても嘘臭い高層ビル破壊に混じって木造家屋の破壊シーンも堪能させてくれました。(根室の居酒屋)いい仕事だと思います。

そして何よりも、私がもしもゴジラを見ることが出来たとしたら、至近距離で接近遭遇なんてことはありえなさそう。だからゴジラのアップやバストショットにはリアル感を感じられない。恐らく、安全地帯からの遠景のロングショットなんだろうな、なんて勝手に想像してみる。すると本作で魅せてくれた凝ったアングルはトラウマになりそうです。久しく見ることの出来なかった綺麗なゴジラ画像でした。想像ですが、『ガメラ』の「東京タワーに佇むギャオス」の画に東宝特撮陣は相当刺激されたんじゃないでしょうか? そしてCGの多用のおかげなのでしょうか、遠景のゴジラと近景の群衆・建物との融合処理はシリーズ中、最も素晴らしい出来と言えます。

って、ちょっと誉め過ぎでしょうか?

で、肝心のストーリーですが、タコ星人や古代UFOは苦笑いするしかありませんが、「怪獣ゴジラ」に対しての脚本の説明不足が功を奏していたと思うのです。

我々は(登場人物たちも)「ゴジラ」に対して常に「何か」を投影し、意義付けしようとしてきました。しかし、アレはトカゲだかイグアナだかの爬虫類のデカイ奴にしか過ぎないんじゃないのかと・・・

たまたま第1作目が冷戦期の核開発レースやら第五福竜丸やらのテーマを忍び込ませて「名作」の雰囲気を醸し出したが故に、その後の平成シリーズでも「とってつけたような」テーマを探さなきゃならなくなった。

だけど私にとってゴジラは、毎年正月にやってくる季節はずれの台風みたいなものと認識しています。ゴジラによる被害は意図的な行動によるものではなく、ただ訳もわからずレイプされる「災害」のようなものだと思うのです。

第1作目にしても、水爆実験というモチーフよりも、炎上する東京の下町を東京大空襲になぞらえたレイプだと訴えているように考えます。B29も爬虫類も、言葉や意思の疎通も叶わない容赦のない「災害」だと。

だから今回のゴジラに対しての説明不足はアレでよかったんじゃないのかとも思う。その意味で「科学の暴走」だとか「ゴジラは心の中にいる」等の意味不明な言葉はやはり蛇足だった。

(評価:★4)

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