[コメント] ロングタイム・コンパニオン(1990/米)
"It's alright. You can let go now. Let go, just let go."―今まで耳にしたセリフで一番の、愛のことば、いつくしみのことば。忘れられない人がいる―
この映画を冷静に見ることができません。NY留学時代にボランティアしていて知り合ったエイズ患者の方々や、去ってしまった友人を思い出してしまうから。だから、このコメントも何回も書いたり消したりしてしまいます。本当は点数なんて付けたくないのだけれど…
展開は安っぽいメロドラマだし、ラストも取って付けたようだし、映画としてそれほど良作だとは思いません。ただ、このラスト近くのブルース・デイビソンの、あのまなざしとことば、それがこの映画のすべてだと言っていいと思います。
僕も、ああ言ってあげたかった。そして、いつの日か、もしも、愛する人、愛すべき人、親や友人や我が家のハスキー犬リキが、エイズに関係なく病に倒れ、苦しみの中で先立とうとするとき、あれほどの勇気を持って見つめてあげられるだろうか、安らぎの中で行かせてあげられるだろうか。いや、あげたい。そう思いました。
最後に、この映画だけを踏まえて、「エイズはホモの病気だ」とか「自業自得だ」なんて捉えるのだけはやめてほしいです。その「視線」こそが、エイズ以上に恐ろしい「病」だと、僕は思います。90年代以降、エイズの蔓延で、多くの方が亡くなりました。またエイズが発症したその絶望と、周囲の「視線」に耐え切れず、自ら死を選んだ方も少なくありません。この場を借りて、心からご冥福をお祈りします。
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