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[コメント] 海の上のピアニスト(1998/伊)

彼にとっての船の上は、愛着などではなく…

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 …世界そのものだ。

 普通の人が、月を生活の場として選択肢の上に上げようともしないのと同じ。 彼の実感を「地球滅亡の日が予測され、エクソダスするか、運命を共にするか」というようなレベルでの選択と解釈するべきだろう。『ディープ・インパクト』のテレビキャスターのジェニーの選択のように。

 今の例では、したくても出来ないのと、しようと思えばできる…という決定的な違いはある。  では、原理主義の人々が、便利な近代技術を否定するのと比較してみようか。

 便利な生活に流されるのが安易なのはご存知の事だろうが、安易に受け入れれば、教理は崩壊する。

 もっと身近に、屋上から中空へ一歩を踏み出せないのと比較しようか。  心理的なブレーキがかからなければ、文字通り誰だって一歩を踏み出せる。  そして、経験を積んでいない赤子もまた、何の疑問もなく這い進める。

 ■結■

 才能を羨むのは勝手だが、その才能を成立させているモノを理解せずして羨んでいる者。

 作品のメッセージをそんな人に対する指摘であるように受け取った。  結論に重要なのは、如何に自分と異なるか…だ。彼自身の決断の理由が何であったか…ではない。

 船を下りるのが安易であるような人であったら、あのような才能はそもそも芽生えなかっただろう。

 …そう解釈することで、平凡で無才な自分の 微かにもある幸せを噛み締められる。自分を愛しく見つめなおす事ができる…というものだ。

(評価:★3)

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