[コメント] アナとオットー ANA+OTTO(1998/スペイン)
淡いブルーグレイを中心にすえた清澄な色彩設計、大胆な切り返しショットと省略の冴えが際立つ編集技術、時間の順行と遡行を自在に操りながら、かつまた同じ時間を二人の視線から描き込んでいく勇気と才気溢れる語り口。全てが惚れ惚れする出来栄えだ。
そして描かれるのは幕末期黙阿弥もののようなどろどろとした因果話。主題と手法がもたれあっていないことに感動を覚える。北極圏の沈まぬ太陽は、もちろん主役二人のたぎり続ける性愛の情熱を象徴するのだが、こうした稚拙にも近い比喩の若々しさが、老獪さと共存する点もこの作品の大きな魅力である。
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