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[コメント] 黒い瞳(1987/伊=仏=露)

食器やアクセサリーが光るのはフェルメールの絵画からなのだろうか。
Kavalier

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







なら、エレナ・ソフォノバ演じるヒロインは、フェルメールが描いた女性達のように、自立心を持ちながらも受動的に生きざるをえない存在なのかもしれない。

映画は、中年の純愛のきっかけを描いたチェーホフの原作のその後の話なのだが、つまる所、男は自らの「純愛」にすべてをかけることができず、対象となる女性もまたその被害者となってしまう。しかし、映画の裏側では、原作の続きのもう一つの"If"があたかも存在し、別の中年男性の「純愛」によってヒロインは救われるかのようだ。その救いは、ラストの観客への価値観を逆転を示すサプライズと共に2つの"If"のコントラストが描かれる。それは、単なる原作の一方通行ではない世界の広がを感じ、主人公の悲哀とラストの幸せそうなヒロインの姿を見て、複雑なアイロニーを感じながらもすがすがしい気分になった。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ペンクロフ[*]

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