[コメント] シュリ(1999/韓国)
(前コメント)陳腐なセンチもバカなだけのうちは愛せるが、社会だ歴史だを語りだすと途端にげんなりする。色んな意味で、ハリウッドなんか目指さなくたっていいんだから。おバカさんがこれ見て南北問題解った気になるのが怖いなと思った作品。
これ見て解った気になるようなおバカさんの中には、しかし、自分も含まれる。そもそも南北分断という問題は、日本人にとって他人事では毛頭ない。高度経済成長の土台となったのが朝鮮特需であることを考えたら、戦後日本の繁栄と我々の贅沢の一旦は彼らの犠牲の上に成り立っているということになるのだから。この映画はそういった部分、南北分断を冷戦という国際事情の中に捉えた時に出てくる問題、近隣諸国が自国の問題として受け取れるような根本的な部分を扱っていない。故に自分のような無知の輩が見ては、同情を感じても、その同情が自己批判にまで結びつかない。そう思って、上のようなコメントを書いた。
でも、それはこの映画の罪ではない。一本の映画がそういった問題を必ず扱わねばならない義務はないし、悪いのはこの映画ではなく、自国の歴史を良く知らない自分の方だ。上のような批判を述べる資格などありはしない。韓国の人々が自分たちで納得して撮っているなら、それこそ余計なお世話でしかない。この映画が近隣諸国の目を韓国映画に向けさせるきっかけとなったことを考えるなら、映画としての良し悪しを超えて存在意義があったことも認めないわけにはいかない。
この映画以降、我々がいかに韓国映画に目を向けたか、娯楽ではないレベルで南北分断を扱った映画がどれほど我々の手元に届いたか。今のところ『JSA』や『ユリョン』ぐらいしか目にしていない。南北分断を娯楽に埋没させてしまう可能性はないか。韓国映画は立ち止まって考えた方がいいと思う。
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