[コメント] モスラ(1961/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
*原案・脚本などが奇跡のキャスティングだと聞き、実際良作だったので、あえて主観をずらずら書く。一回しか観ていないので誤った認識があったら申し訳ない。
ディテールが似てたので、不毛とは思いながらも比較してしまった。
いろんなことに媚びず、やりたい放題やってる怪獣映画。とにかく観ていて楽しい。もし作り手が『キングコング』を意識していたとしたら(観てないわけはないとは思うが)、世界観、登場人物の作り方、ショーの見せ方、怪獣の見せ方諸々、十分演出は見劣りしない、いやむしろ超えていると感じた。
ただ、気になることがあった。
なぜ“小美人”は島に帰らねばならなかったのだろうか。なぜ、“モスラ”や“島の土着人”は小美人を連れ返らなければならなかったのだろうか。
小美人が島の神的存在だったから?自然回帰思想?(それとも、取ってつけたように感じた水爆実験?)・・どうも良く分からない。冒頭、“そのまま手をつけないほうが良いと思った、それが人間だろ?”云々という台詞、なんとなく肯けるのだが、そこをもっと突っ込んで欲しかったのだ。(個人的に、「当たり前だろ?」みたいなことを言われると食いつきたくなる性格なもんで、つい。)確かに商売目的はよろしくないとは思うが、同じ地球上を移動してなぜ悪?閉鎖的になることが必ずしも良いことではない(と、歴史や生物学も実証している)。映画の作り手は、なぜ、返したかったのか?
そこらへんの、この映画の作り手の“一番根幹となるべき思想の部分”が“なんとなく曖昧に”“人間ならあたりまえの感情でしょ、とナアナアに”描かれ、取りあえず悪者を作って殺し、モスラが助けに来て島に帰って良かったでは、ちょっと消化不良です。
それなら、味方もおらず、戻るべき場所に戻れず、見知らぬ場所で命果てた『キングコング』の方がよっぽど理に叶っているし、アンチ効果が発揮されていたと思う。だって、これ観ているうちにキングコングを思いだしてまた悲しくなったくらいだし、やっぱりまたそれなりに色々考えさせられたよ。
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