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[コメント] アメリカン・ビューティー(1999/米)

何にもとらわれずに自由に生き、自由に愛し合うことの総毛立つほどの醜さ。かくて家族という大伽藍は見る見るうちに崩壊し、赤い花びらの堆積のように真紅の血を吹き上げる。誰も悪くないのだ。そしてそうだからこそ、こんなにも胸に嘔吐感が込み上げてくるのだ。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ひとつの崖に崩れ落ちそうな一家族が、それぞれに病巣を抱えつつ終末へのドラマを急がせていった。そして引き金は引かれ、おぞましい家族ごっこはあっけなく終幕を迎える。みなが醜悪さを秘めている。みなが腐敗を急いでいる。これがアメリカのひとつの現状なのだろうか。答えは提示されないままに、父親は鮮血のなかに昏々と眠る。意識的に用意されたであろう不快さを自分という観客に残して。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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