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[コメント] ミツバチのささやき(1972/スペイン)

線路上の二人の少女。イサベルは線路に耳をあて、アナは遠くの何かを見つめるように立つ。そう、イサベルは知識・情報を得ようとする子で、アナは感じようとする子なのだ。
cinecine団

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







主な登場人物が5人登場する。まずフランケンシュタインの怪物。彼は屍体を繋ぎ合わせて作られた人造人間であり、精霊であり、傷ついた脱走者である。社会に受入れられる事なく殺されていく。

ミツバチを室内で飼育する装置で、生物の生態の神秘へチャレンジする父親。まさにフランケンシュタイン博士である。彼はアナが関心を示した毒キノコを「悪魔」と言って踏み潰す。これには彼の「社会からはみ出した物」への姿勢が表れている。

フェルメールの絵の様な光の射す室内で、フェルメールの絵の様に「手紙を書く婦人」母親は想い出に閉じ篭る。

主人公の姉イサベル。アナと近い位置にいた彼女も猫の首を締め、死んだふりをしてアナを欺く等、死を体験しながら次第にアナから離れていく。血を流し、唇に紅をさし、焚火を跳び越して、イサベルもまたアナとは違うあちら側の人間になる。

最後にアナ。毒キノコや精霊を受入れようとする彼女は、死を経験しても家族と同じ人間にはなれない。家をでたアナと出会ったのが父親ではなく怪物だったのは、社会から拒絶され痛みを知る怪物だけがアナ側の人間だったからだ。アナは自己を知り呟く「私はアナ」。汽車の音が聞こえる。いつかアナは汽車に乗ってこの巣から、この家から出て行くだろう。ミツバチの生態を観察する父が「幼虫を待つのは労働のみ、報われない努力」と称するこのミツバチの巣からの脱出はアナにだけ許されている。しかし父親はこうも記している「唯一の休息、死もこの巣から離れなければ得られない」

数年振りに見て、廃屋でアナが靴の紐を結ぶ脱走兵の右足。安置されている彼の右足だけ裸足だったのを知って泣けた。泣けた理由は不明。

何度も見返す度に新たな発見がある映画だ。その点はエリセの才能と、1度や2度では全部が理解出来ない自分のオツムの共同の成果といえる。ちょっと情けないが。

(評価:★5)

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