リチャード・ファーンズワースは自分語りをしだしてからが素晴らしかった。それまでは、あんまり演技上手くないし、７３歳には見えないし（個人的な感触では７３歳はもうちょっと若い。耄碌度から言えば８０歳前後に見えた。）こりゃミスキャストかな、と思ったけど、家出少女に自分のことを話し出すシーンから印象が一変。やっぱりああいう話は年寄りが言うと染みるな。言ってる事はフツーなんだけど。

シシー・スペイセクも悪くなかったけど、予備知識が邪魔してかslowには見えなかった。どうせリンチなんだから、ここはいっそ本物を引っ張ってきた方が良かった気がする。

それ以外の脇役----リチャード・ファーンズワースの話に耳をかたむける人々----は素晴らしかった。この人たちの、実にナチュラルな演技なくして、リチャード・ファーンズワースの自分語りがここまで説得力を持って画面に迫ってきたかどうか。

そしてラスト。

これに匹敵するエンディングは『めぐり逢い』ぐらいしか、ちょっと思い出せない。