この長尺の映画の最初から最後までを、細部に至るまできっちり作り上げた画面で埋めてみせたキューブリックとラッセル・メティ、アレクサンダー・ゴリツェンの集中力・忍耐力は大いに称賛されるべきで、その点を最大限に評価するならばまごうことなき傑作ということにもなろう。

個人的には、序盤におけるダグラスとウディ・ストロードの決闘が華麗でなくて生々しいところが好き。真剣勝負ゆえの滑稽さがよく出ている。滑稽という点では、クライマックスの合戦においてごろごろ転がる炎のローラーから逃げ惑うローマ軍、というところも非常に面白い。