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[コメント] インサイダー(1999/米)

魂を震わす究極の男性賛歌映画。自分を信じて信念を貫く男、必ず約束を守り抜く男、仕事に誇りを持って命と情熱を燃やす男、父親として家族を愛する男。ダメさ、弱さ、情けなさばかりが目立つ現代の男達に送る、最高のバイブル。男は絶対見ろ!
Ryu-Zen

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







未見ですが、女性賛歌映画と言われている『オール・アバウト・マイ・マザー』と

対極に位置するような映画だと言うのを聞いた事があります。

とにかく男・男・男、この映画の世界には男しかいないんじゃないかと思うくらい

男汁エッセンスが満載、しかも不思議と泥臭くも汗臭くもない。

そして映像の清潔感や透明感が抜群に美しく冴え渡り、戦う男達を輝かせる。

ここまで「男性」にこだわった映画も珍しいんじゃないかなぁ。

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■序盤、娘がぜんそくの発作を起こした時「ママ!」と叫んで母親を呼ぶのだが、その声にいち早く反応して娘の部屋にすっ飛んでいったのは母親でなく「父親」であるワイガンドだった。

■局でローウェルや部下のデビー、マイクらその他数人がメシを食べながら議論をしてる場面、自分の意見を吐き出してしゃべってるのは男ばかり、唯一の女性であるデビーはほとんど参加せず、「なんで?」と質問をするだけ。

■和風料理店での、ワイガンドとローウェルの会話に出てくる対照的な「父親」。「独創的な人だった」/「家を捨てた」。幼い男の子に与える「父親」の影響。

■FBIの怪しげな行動、パソコンを持っていこうとする捜査官を追いかけ、不意に転げ落ちてしまうワイガンド。奥さん、ワイガンドの腕を掴むがすぐ離す。そしてどうしていいかわからず、オロオロ....

■ワイガンドの言葉、「娘達に放送を見せて、わかってもらいたかった」。自分を理解して欲しかったのは奥さんよりも子供?壁画が変形してワイガンドの幻想が現れるシーンで出てくるのも娘だけ、奥さんは出て来ない。

■「耐えられない...」と言い、家を出て離婚までしようとするワイガンドの妻。「先を見越して行動を....」「あなたの勝ちね」と、アドバイスありお褒めの言葉ありのローウェルの妻。実に対照的。

■ほとんどの男達に見せ場あり。メガネの弁護士の話「海軍での戦闘は一瞬でケリがつくが、あなたを待ち受ける事態は何年も続く」、ヘラヘラする男にブチ切れるモトリー弁護士「ニヤニヤするなっ!!」、FBIの人「今夜はいい番組だったな」、ワイガンドのインタビュー「時にはそう思います、しかし誰かがやらねばならぬ事も、もしもう一度やる価値があるかと聞かれれば....あると答えます」そして静かに笑みを浮かべるマイク。

■ヘレン・カペレッリ女史とローウェル&マイク、学校の面接官とワイガンド、地位のある女性と下位の男性が対峙する場面がなぜか気になる。「マイク?マイクだと??」。男の意地みたいなものの象徴なのかな....

■ラスト、局を去るローウェルの背中をスローモーションで捉えるカット、言葉もないくらいカッコいい。男をいかにカッコ良く見せるか、それだけを考えたカットがこの映画には無数に存在する。

■アカデミー主演男優賞にノミネートされたのはアル・パチーノでなくラッセル・クロウ。強い信念を貫き通す男、ローウェル・バーグマン(モラルの指導者)はある意味ヒーローのような存在、「こんな男になりたい」と言う願望を抱かせるような人物、対してジェフリー・ワイガンドはあくまで普通の人間であり普通の男、ダメで弱い部分(度を超えて酒を飲んだり、妻に手を上げたり、ガラクタ商品には金を払わない)をたくさん持つ男、そんな男が悩み苦しみながらも「信念」をかけて証言し、強い男へと近づいていく。観客は「ヒーロー」に憧れるが、共感するのは「普通の人間」だと思う。

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自分も一人の男として、この映画から多くの事を学んだと思う。

「良い男」「強い男」を目指して、何度でも観賞するつもりだ。

よってこの映画は自分の人生に無くてはならない”別格”の作品なのです。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)けにろん[*] 赤い戦車[*] ガンダルフ[*] kenjiban[*] shaw[*] m[*]

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