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[コメント] マン・オン・ザ・ムーン(1999/米)

芸人ほど、哀愁を内に秘めた職業はないだろう。
グラント・リー・バッファロー

今時のテレビ的手法の先駆けだったアンディ・カフマン。しかし、組織のなかでただ手法を踏襲していけばいい、今のテレビ体制とは違い、個人で全部とりはからい(ブレーンは一人いたが)、ゆえに一手に非難を浴びざるをえなかった彼の人生は脆く壊れやすいものであり、だからこそ愛すべき存在だった。

ただ、ミロス・フォアマン×アンディ・カフマンという題材×モチーフとなったR.E.M.の名曲"Man on the Moon"という組み合わせには、もっと多くのものを期待させていたのは事実。

無論、最初からこの話にコメディ的要素などは期待していない。"Man on the Moon"の曲の内容を既に知っていれば、哀愁に満ちたシリアスなドラマが展開されることは容易に予想がつき、それだけにさらに期待を滲ませていた。冒頭のジム・キャリーの不安定な目の動きとしゃべりで、その期待感は最高潮に達する。

ただ終わってみれば、構成的には前作『ラリー・フリント』と酷似していて、(コートニー・ラブの位置も非常に似ていた。)それ以上のものはなかったという印象。観終わった後の余韻はといえば、いやあ"Man on the Moon"は本当にいい曲だよなあ、ということだけだった。

アンディ・カフマン自体の生き方は、個人的にはとても好き。芸人は、どうらんの下に隠された涙を最後まで人に見せてはいけません。ポール牧とかは、見習うように。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)アルシュ[*]

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