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[コメント] 家族の肖像(1974/仏=伊)

 「今時の若い者は・・」というセリフは30年ほど前からあったんだね。
にくじゃが

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 確か一カ所ヘルムート・バーガーのよくわかんないクローズアップがあった気がする。初登場シーンじゃなかったし、あれは何だったんだろう?

 教授いじらしい。「世の中なんて煩わしいだけ」なんていっていながら一生懸命家族の肖像集めるんだから。ニヒルさ気取ってても一人は寂しいんだ。絵の中の家族だったら、そりゃあ、文句いわないし、理想的な家族だろうねえ。たまたま入ってきたご家庭がとんでもない現代的(?)な人たちなのが不幸だった。あれがごくごく穏和な家庭だったら、教授は理想の家庭を手に入れてたかもしれないのに。誇張がすぎるが、現実は厳しい。

 全編あざといくらいに一人対一組の対比があるけど、それはそれでわかりやすくて、おもしろかった。『山猫』では新しい時代への期待と理想、その前に滅びる人の対比だったけど、今回は理想もなしか。生き残っていくのは、ハイエナみたいな人たちだけ。コンラッドも教授も理想に見捨てられ、現実を否定したがっている。二人とも過去を理想化してる。まあ、たいていいい思いでしか残らないもんね。理想化された過去と、すべてあるがまま、何も消去されてない現実。その乖離に耐えられない者には「死」が待っているだけ。時代に殺された二人。背負っていくべき過去のない若者、時代を踏みつける権力者。生き残るのはこの両者だけなのか。ひたすらむなしい。希望はない。暗い、暗い作品。

(評価:★5)

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