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[コメント] 赤西蠣太(1936/日)

なんじゃこりゃ!シーンによってコロコロ変わる作風。予想を裏切る展開。ラストは何故かほのぼのしたホームドラマ風に!伊丹万作の変化球演出に初めて球を受けた私は戸惑うばかり。
AONI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「口封じ」といった隠密のハードな仕事を描いたと思えば、会合場所の家や小船の上で隠密二人(千恵蔵&原健作)がワイワイ楽しそうにじゃれ合ってたりする。 蠣太(知恵蔵)からの手紙で刺客が潜り込んだことを知らされた役人が、部下に何度も何度も酒を薦めながら、その度に使いの仕事を頼みまくる漫才のようなやり取り。そんな脱線シーンにやたら時間を割いたのに、刺客の捕り物はあっさりと片付けちゃう。そんな意図的な「外し方」が終始続く。

歌舞伎囃子に乗って登場してくる標的(ターゲット)原田甲斐。このキャラが登場する空間だけは歌舞伎世界に突入する。彼の喋り口調や、クライマックスの見せ場である「刃傷沙汰シーン」もまんま歌舞伎である。 俯瞰カメラで捉えた群集の動かし方、襖が次から次と閉じられていく様。刃傷沙汰シーンの映像は大好きだ。

挙句の果てにこのラスト!小波を尋ねてきた蠣太。お座敷で再会する二人。「あんまり、ゆっくりしてられないのだが・・・」と繰り返す千恵蔵。周囲は次々消えていき、開き戸は閉じられ、二人を残して日は暮れる・・・。ほのぼのやの〜。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] ゑぎ[*]

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