[コメント] ハーモニー(1996/豪)
この邦題は、「ハーモニー」ではなく、「予定調和」とするべきだ。マジョリティの城壁の内側から施しとして投げ込まれる偽善。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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この映画を観たのは、かなり前の事なんですが…、最後のオチで、登場人物の一人である男性患者が、「俺はマダム・キラーだ」と言った後、「ホントに殺した!」とか言ってますよね。ブラック・ユーモアのつもりかも知れないけど、一見、心を病んだ人たちとの心の交流を生温かく描いた映画を装いつつも、実はやっぱり彼らを蔑視している制作者側の視点が、露骨に表れていて、黒く笑えるな。
病院内で主人公と交流する、若くて綺麗な女性患者が、本格的な精神障害というのではなく、健常者の精神と地続き感のある情緒不安定、という程度に抑えられているのもまた、絶妙と言うべきか、微妙な所だと言うべきか。これって、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』の恋愛劇のパターンと似ているなぁ。マイノリティとマジョリティの中間的な存在である女性を据えて、彼女が主人公と仲良くなる過程をもって、マイノリティとのコミュニケーションの代理的表現にしてしまう、と。要は、本音ではマイノリティと自分たちマトモな人間は隔絶した存在だと考えていて、でも優位の立場である自分は、あんたたちに優しく手を差し伸べてあげるよ、という偽善でしかない訳だ。
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