コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 皇帝円舞曲(1948/米)

犬の使い方が一応は面白いが、擬人化過剰気味。どれだけ演技させても所詮は主役二人の恋愛の投映でしかない詰まらなさ。また主役二人が全く魅力的でない。ぶしつけなアメリカ人気質で階級社会に土足で踏み込む品の無さも嫌。
煽尼采

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







フランツ・ヨーゼフ一世のソックリさんを出しての、髭をネタにしたジョークなど、慎みや品位を欠いたアメリカらしさに辟易させられる。その半面、皇帝は魅力的な人物として描かれてもいて、彼がバージルに、王侯貴族をカタツムリに喩えて語る台詞など、なかなか含蓄がある。

バージルの、テラテラと皮相に輝く底の浅い明るさを湛えた顔や、蓄音器に戸惑うオーストリア人を半ば野蛮人扱いする態度など、一挙手一投足が一々腹立たしい。彼が、飼い犬の治療への協力を頼みに来たジョアンナに何度も「Please」を要求する場面など、窓から突き落としてやりたくなる。

とはいえ、この場面の舞台である宿屋のメルヘンチックな作りは目に愉しいし、ここで赤毛の娘やおばさんと運転手が踊る光景は、主役二人の場面などより、よほど見ていて心地いい。視覚的な面で言えば、小さな島でバージルとジョアンナが口づけを交わすのを捉えたまま上昇していくショットなども、見た目だけは美しい。この後の場面でのジョアンナは、それまでの白いドレスではなく、黄色やピンクなど、明るい色のものに変わっている。

だがこのジョアンナにしても、お高くとまった貴族の娘という以外には、バージルの美声に簡単に惹かれていくだけの、物語の駒、都合よく動くお人形でしかない。彼女も含めてオーストリア人は皆、英語を話すのだが、これがまた、森の中の蓄音機の大音響のように、がさつで喧しく感じられる。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)3819695[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。