[コメント] ナッシュビル(1975/米)
多人数が行き交う「日常」を切り取る事で見えてくるものとは。☆3.5点。
多くの登場人物をさらりと捌いてゆくアルトマンの技があってこその事なのかもしれないが…。
アメリカ南部音楽の都ナッシュビルで、音楽祭と大統領選の最中に行き交う様々な人々の振る舞いを描く。私には醜い日常の、或いは悪夢の連続に見えてならなかった。カントリー音楽の陳腐極まりない歌詞、傲慢な人々。しかし160分足らずに及ぶ垂れ流しの中で、これらの醜い人々の群れが、結局人間の群れなのだなと思えてくるのが面白い。アメ公も<田舎>に行きゃ田舎モンばかりだが、これはまさに日本人も同じ。俺も'70年代のナッシュビルに生きていれば、きっと同じ生活を楽しんでいるのだろう。鳥瞰的な視点は突き放しや冷徹ではなく、達観や無常、冷静ですらなく、真の意味でのフラットな視点に到達する。
当初「東村山音頭」を使命感と誇りで歌っていたとは思えないし、地元の恥だと怒った市民が正しいと私は思うが、現在では銅像を立てんとする程の地元が誇る名士となる。この映画も、ナッシュビルではそんな事になっているのだろう。
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