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[コメント] 顔(1999/日)

この映画をみておもうのは、カラオケで、おっちゃんの唄をきいて、ほろりとするとき。
ちわわ

人間が自然とつくりだす魅力。それは、生来の顔立ちとか、 体型とかでは、とうてい説明できないものだ。ふとした瞬間に、 ものすごく魅了されてしまう自分に気付く。そういうときがある。

この映画では表題通りに、ぼくは「顔」をみる。藤山直美だけではない。 登場人物たちみんなの顔をみる。そこには、孤独感も、善意も、喜びも 悲しみも、自己矛盾も、怒りも、諦めもすべてがあらわれる。不思議な ドラマが瞬間的に形成されている。

無駄に思われるカットでも、画面にうつる 役者たちの表情は、いつも何かを表している。この名状しがたい何かが、 この作品ではことのほか大切にされている。

もちろん、あくまでも娯楽としてつくられた作品である。 娯楽としての構成、いかした台詞もきいている。だけれども、 ちょっとしたエピソードがこの映画で不可欠な要素に思われるのは、 瞬時に立ち現れる何かを、表現する意志からくるのだろう。 不思議なのは、その何かが、ぼくには自分にとってなくてはならない ものにおもわれることだ。「成長」という言葉は権威的で好きでない。 でもこの気持ちの意味を、ぼくたちは「成長」とよんでいるのではないか?

カラオケで、ほろりとするとき、京都人のぼくが、 関西弁をきいて不思議にやすらいでしまうとき、 そんな表情が立ち現れているのだろう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] こぱんだ[*]

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