[コメント] 映画に愛をこめて アメリカの夜(1973/仏=伊)
映画づくりというだけで異常に面白いのであり、せっかくのバックヤードネタ、これではいかにも短すぎる。ワイズマンに12時間の尺で撮ってほしい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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最高に面白いのは体験談の部分なんだろう。ヴァレンティナ・コルテーゼが扉を間違え続ける件。監督がプロデューサーと緊密なのもリアルだ。猫がミルク飲む長回しもいいのだが、やや駆け足な演出になるのがつまらない。クレーンを紐で引っ張っているのは驚かされる。美術の小ネタは横に穴の開いた蝋燭や窓枠だけの窓。こういう処ももっとじっくり観せてほしい。車転落のスタントがフィルム繋いでいるのが面白くないし、雨も雪も流すような描写がもったいない。最大の不満はキャメラの薀蓄が足りないことだ。無論、これらの文句は嬉しい悲鳴に近い。
物語は後半、レオーのドタバタ(「僕は台本は読まない主義なんだ」)で展開するのだが平均点ぐらいの出来であり、終盤のジャン=ピエール・オーモンの事故死による改編になると拙い印象になる。しかしそれでも、「スタジオの時代は終わった」の詠嘆は感じ入るものがある。フランスもそうだったんだ。それこそが本作を撮った動機なのだろう。
再見。学生の頃に祇園会館で観た。ジャクリーン・ビセットが途中参加して、余りの美しさに映画とはこういうものだと思ったものだった。彼女は活劇以外の主演が初めてで、予算は少なく、衣装三着を自腹で準備したとのこと。メイクのニケ・アリージが可愛い。邦題のダサい副題はリバイバル以降使われていないらしい。
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