[コメント] 陸軍(1944/日)
名作であることは間違いないのですが、何となく中途半端な印象も受けてしまいます。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
太平洋戦争は日本の監督にも様々な影響をもたらした。有名監督の多くも軍管理の中、戦意高揚映画を作ることを余儀なくされた訳だが(黒澤監督も同年に『一番美しく』を撮影してる)、木下監督は特にデビュー作の『花咲く港』(1943)自体が戦意高揚映画だった訳だが、それは本人も苦にしていたのだろう。戦意高揚映画として撮影された本作も、最後に監督の主張がしっかり出ている。
作品自体は太平洋戦争への出征を祝福している作品なのだが、最後の最後、田中絹代演じる高木家の母親がなんとも複雑な顔をして息子の出征を見送るシーンにはしんみりさせられる。それまではなんと言うこともない作品なのに、最後の10分での情感の出し方およびカメラワークはさすが木下監督。と言えるシーン。
しかし、このシーンがまずかったらしい。公開されたラストシーンを観た陸軍将校がサーベル片手に松竹撮影所に怒鳴り込んだと言われ木下監督は松竹に辞表を提出する事になってしまったとか。
現代の目から観ても、戦中に作られた名作の一本に数えられるだろう。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。