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[コメント] 話の話(1979/露)

冒頭の子守唄に誘われ、羊水に浸された夢の記憶を呼び起こす。
muffler&silencer[消音装置]

例えば、極寒の地にあってこそ、寝床の暖かさが真に幸福に感じるが如く、しみじみとしたぬくもりがこめられたひとつひとつの線が、束となり、色となり、「話の話」が一篇の詩として紡がれる。

青い森に降る雨、林檎をつたう水滴、ロウソクや焚火のオレンジの炎、風に波打つ布、焼き芋のホクホク感…実物を陵駕する質感。その表現力の豊かさにまずは圧倒されよう。

綴られる物語は、様々なメタファーにあふれており、その意味を探り出さんとすると難解であろう。

だが、そんな意味探しに拘泥することなく、僕は、この映画を繰り返し、何度も何度も観ていたい。あたかも、詩を暗誦するが如く。

そして、この世界をあるがまま受け取り、浸っていたい。そういう思いに駆られる。あたかも、幼児が母の子守唄に無抵抗であるが如く。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (9 人)ペペロンチーノ[*] 鵜 白 舞[*] stag-B ペンクロフ[*] かるめら tredair[*] nsx[*] ina[*] mize[*]

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