[コメント] 霧につつまれたハリネズミ(1975/露)
『25日 最初の日』のエモーション、『ケルジェネツの戦い』のカメラワークとカッティング、『狐と兎』の素朴さとかわいさ、『あおさぎと鶴』の風景描写、過去作の美点を受け継ぎ、同時にそれらを遥かに凌駕している。まさにノルシュテインの集大成。
一九七五年制作のこの映画にとって、私はほとんどの日本人と同じく「遅れてきた観客」でしかないわけだが、この映画がアニメーションの表現領域を格段に押し拡げたであろうことは容易に想像がつく。(『外套』の完成を待つ現時点では)『話の話』こそがノルシュテインの最高傑作だという説にことさら異論を挟むつもりはないが、『話の話』のようにあからさまに詩的な文体を採用しなくてもここまで深遠なものを表現できる、という点で私は『霧につつまれたハリネズミ』のほうが好き。ハリネズミくんもかわいいしね。
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