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[コメント] スケアクロウ(1973/米)

過去に向き合う為に旅をする者、未来に生きる為に旅をする者、 虚ろで不安定であるが二人でいる事で明確に安定してくる。。。
あき♪

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







家族と言う重荷から逃げ出しオドケル様に生きてきたライオンと 現在の人との関わりを暴力の様な直情的な行動で関わってきたマックス、 関わる前の彼らの魂は虚ろで不安定だ。

何故なら、二人とも他者と深く関わるのを避ける人間だからである。

しかしそれでもマックスの方は頭もあまりよくない事も幸いしてか 刑務所に入れられ、さてこれからこうやって生きていってやろうと言う希望に 溢れた生き方をしようとしている。

だから、彼の方は生きる術をライオンから一つ学び、 ライオンと言う信用出来る親友を手に入れた事で幸先の良い人生を手に入れていた様に思う。

しかし、ライオンの方はこれから過去と向き合おうと言う始まり方である。 とても辛く不安定に安定している感がぬぐえない。

そんな二人でも、マックスの方は信頼できる他人としてライオンによりかかる様に関わり、 ライオンの方は信頼をマックスから得る事によって、 自分が家族から頼られる事によって得る筈だった 自信を手に入れるかたちになり、二人は依存しあっていく。

しかし、物語は急転する。 同じ様な状況で旅をしてきた二人だけど マックスの方はまがりなりにもに社会と関わる為の関わり方を彼なりに ライオンから得る。

しかし、過去に向き合う為に旅を続けてきたライオンは その過去に自分の存在を全て否定される。

その息子がいる過去こそが現在の自分を証明してくれる、 又は自分に勇気を与えてくれる 全てだったのに、

彼にはもうそれは無い、彼に残るのは只その喪失感だけ。 一方の親友は未来に生きていく為の術を手に入れたと言うのに。。。。

過去からの重荷を一気に背負ってしまい、 初めは同じ、いやある意味彼より後ろのスタートラインに 立っていた親友に追い抜かれてしまったかの様な形になってしまった 彼の絶望は深い。

だけど私はそんな彼の絶望が癒される事を望んでやまないです。

ごく珠に、 私には何年かぶりに見てとっても評価が上がってしまう映画があるのですが、 それが私にとってはこのスケアクロウでした。 (5年ぶりくらいに再見してなんだか泣いた)

(評価:★5)

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