[コメント] U−571(2000/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
潜水艦映画には必然的な密閉感がありついつい点が甘めになるが、この映画には一直線なストーリーを補って余りある「音響効果」があり、更に採点が緩くなってしまう。
ご存知の通り海中ではレーダーが効かず「音」が唯一の敵艦捕捉手段である。それゆえソナーは常に耳をそばだてており、キャッチした音を分析し作戦を立案する。攻撃は自艦の位置を敵にしらせることになり、一撃必殺が基本となる。むやみな戦闘は極力回避され時間軸のゆったりした中で知的戦略の攻防が繰り広げられる。当然「音」に注目がいくシーンというものが必ず出てくる。ソナー役には一癖ある役者が配され、ストーリーに小刻みな起伏を生む。
ここまではよくあるのだが……
U571には敵の攻撃を受けながらも敵に捕捉されないよう音を発してはならない、というハイライトシーンが用意されている。この文字通り息詰まるシーンでは映像が「音」のバックグラウンドヴィジュアルにまわる。
「音」が敵の接近を表し
「音」が自艦の危険を表し
「音」が観衆の恐怖を生み出す
観る者もU571の乗組員へと移入し「音を発してはいけない」という気分になってしまう。呼吸音すら危険に思えてくる。ひたすら息を潜め、必要最低限の呼吸音で、ただひたすら待つことのみで危機を回避しようとする。
そんな静寂を幾たびも打ち破る敵の攻撃音の「怖さ」「嫌さ」「振動感」。
これはビデオでは絶対に味わえない。劇場、それも音響設備の整った小屋のみで体感できる独創的なエンターテインメント。(注意:DVDの5.1chなら大丈夫かもしれません)
この演出を導入した監督と、その要求に応えた音響スタッフに拍手を送りたい。
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