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[コメント] コンドル(1939/米)

全編中9割方が空輸会社と酒場のセットでのシーンで占められているにも関わらず、見惚れるほど素晴らしい飛行シーンを効果的に織り込むことで、映画全体にダイナミズムを生んでいるという奇蹟。
緑雨

何より白眉なのは最初の飛行機事故に至るシークェンス。地上と山上の監視小屋とコックピットをカットバックし、無線通信と航路を追う人物の視線で空間性を表現。酒場から出てきた人々をケイリー・グラントが「静かにしろ!」と一喝することで緊迫感を醸成する。これぞ演出力というもの。

仲間の事故死の直後にも飲み騒ぐ男たちに反発するジーン・アーサーに対して、無常観を言い放ちながら情を隠し切れないグラント。この造形が絶妙で、アーサーでなくても惚れてしまう。ツンデレといえば昨今は主に女性に対する形容詞になっている感があるが、嘗てはこのグラントのようなツンデレ男という色男の系譜があったのだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)動物園のクマ[*] ぽんしゅう[*] 3819695[*] ジェリー

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