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[コメント] 野いちご(1957/スウェーデン)

孤独の価値。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







自身の輝かしい名声とは裏腹に、その人生は空虚なものだった…

私の友人にこういうことをしばし口にする人がいる。これが本心なのか、自虐と見せかけて自己肯定なのか、よくわからないのだけど、まあ寂しいんだろうってことしかわからない。この作品が自分にピンとこないのは、結局最終的には他人を拒絶することへの戒めを感じることだ。この映画の主人公は、好きな研究に没頭できるという人生の基盤があるし(それに尊敬や感謝を勝ち得ている)、身の回りに「放っておいてくれる」人が常にいる。これが孤独といえるのかとも思ってしまうし、孤独で何が悪い?、という以前に、他人を拒絶する生き方の何が悪いのだろう? と思ってしまう。人は助け合わなければ生きていけない、というのは事実だし、したがって何もかも自由にできるわけじゃない、というのも真実だ。でもその最低限を守るのであれば、他人を拒絶することはありではないのか、そりゃ自由であれば寂しいだろう、そんなのどっちかでしかない。そのどっちかを自分自身の選択ではなく、無理やり押し付けられたのだとしても、それだってしょうがないんじゃないかと思ってしまう。

私には「身の回りに「放っておいてくれる」人が常にいる」という人生の経験しかないので、しょせん本当の孤独の辛さなど知らないし、他人に無関心な態度をとっていて、身の回りの人を傷つけてきた恐れはある。他人の考え方や立場を理解する力だってたいして備わっていないだろう。だからといってそれはもうそういうものだったのだから、この映画のことはよくわからない自分なのは仕方がないのだ。でも、私の人生は空虚なものだった、という人は、そう思いたいからそう思うのじゃないのかな? なんて思うわけだ。というのが57歳現時点での感想で、人々が私の周りから去ってしまった頃に観たらまた感じ方も変わるのかも。知らんけど。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)DSCH 寒山拾得[*] けにろん[*]

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