[コメント] ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000/英=独=米=オランダ=デンマーク)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
と、監督に問うても仕方ない。作りたかったんだろうから
人間って本当に嫌だ。心の底から嫌だ。エゴイストで、人の苦労を知っていながら金を盗んだり、挙げ句にその罪を擦り付けようとしたり、人の好意を無にしたり…こういう場合ラッセ・ハルストレムだったら「エゴだって人間だよ。醜さも愛しいじゃないか」と包み込んでくれるのだろうが、これはえらく冷たい。しかもドキュメンタリータッチなもんだから始末が悪い。本当にあった事を見てるみたいで、生きるのが嫌になってくる
セルマは可哀相だ。私ならこんな人生絶対嫌だ。でも、これははっきり言って彼女自身で選んだ事だ。あの時、本当の事を証言していれば死刑は免れたかもしれない。あんな嘘をつけばバレる事ぐらい判ってなかったとは言わせない。だから、私は彼女に心の底から同情する事はできなかった。ラストになっても涙すら出なかった
“子供に何が必要か?”目か?母親か?…どっちも必要に決まってる。“目の方が大事”なんてどうして言える?もし子供に聞いたら「目なんかいいよ、母さんの方が大事だよ!」と答えたかもしれない。“沈黙の約束”を守る事。相手が死んだ今、それに何の意味があった?それはエゴだ。それが何の為の“エゴ”であったかは、私には見当もつかないし、あまり考えたくもない
ただ、セルマの息子に対する愛情は、どんな形であれ、本物だったには違いない。それ故の“エゴ”も存在する。「歌は終わらない 判るでしょう?」判りますとも、貴方の愛情は死んだって終わる事はない。息子に確かに受け継がれたのだから
でも、私はこの映画が好きではない。結局この映画を見て思った事は、人間の愚かさ醜さ、そしてエゴがこんなにも自分を、誰かを苦しめるという事。誰のエゴにもイライラした。セルマにも、金を盗んだ彼にも、リンダにも、弁護士にも…でも、私だって人間なのだ。我儘だし、醜いし愚かだ。きっと誰かを苦しめてもいる。そんな事判っている。だから、頼むからそんな事をわざわざ目の前に突き付けて見せないでくれ。自分を嫌いになりそうだから
映画自体はつまらないとは思わない。ミュージカルシーンも見応えがある。だが、ここまで嫌な気分になって好きな映画とも言えない。私みたいなネクラ人間がこの映画を見た事自体が間違いだったのかもしれんが…
もしかしたら、この映画は彼女が死ぬ前「最後の曲の前に」消した方が私には良かったのかもしれない。まだ希望がもてたかも…
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (8 人) | [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。